T^3Japan第19回年会 プログラム詳細

2015年8月22日〜23日  東京理科大学・神楽坂キャンパス

共催:東京理科大学数学教育研究会

                       

 

月 22日(土)

 

A-1

峯下及太(東京理科大学大学院)  グラフ電卓を用いた離心率の指導法の検討導

高等学校数学Vにおける離心率の指導では,結果のみを教えることになりがちで高校生にとってあまり身近ではない。グラフ電卓を用いてスライダーを動かして離心率を変化させることで,グラフがどのように変化していくかを観察させ,生徒の興味,関心を惹くとともに,離心率の定着を図ることを期待する。

[数学V,発表形式,両者対応]

A-2

中込雄治(宮城学院女子大学)        小学生が歩いてつくるグラフ

グラフ電卓と距離センサーを用いて,各自が歩く様子をグラフ化してみると,子ども達は時間と距離の関係を意識しながら「速さ」そのものを体感することができます。子ども達が歩いた様子をグラフ化する実践をもとに,いくつかの事例を取り上げ,数学を体感させる可能性について考察します。

            [数学教育,発表形式,初心者]

A-3

都志見聖子(筑波大学附属坂戸高等学校)   

実場面における課題解決のための関数概念と統合型ソフトを活用した教材開発

実場面における課題を関数概念とグラフィックカリキュレーターを使って解決する。

[数学T,Workshop,初心者]

A-4

片岡 啓(和歌山大学教育学部)         ICT教育の時代のTeaching with Technology

近年ますます「ICT活用教育」が喧伝される一方で,「現在の数学教育ではそれほど利用されていないのが現状」(本年会の案内)のようです。本会の趣旨に沿って,これまでの実践も振り返りながら,このギャップについて考えてみたいと思います。

[発表形式応]

A-5

勢子公男(練馬区立大泉学園中学校)       小学校でも電卓を使ってみたら?!―TI-15の使用を考える―

このT^3Japanのように長い歴史を持つ電卓の研究会がある一方,日本では算数・数学の授業で電卓が頻繁に使用されているとは言い難い状況にある。これは,内容や教材が計算に重点を置く傾向の学習や計算中心の入試傾向であったりすること,電卓を使用する環境がいまだ整っていない,などによるものであると思われる。また,日本社会では一般に,数学=計算とみなす計算主義が根強いものになっているとも思われる。ここでは,TI-15を使っての分数計算や分数と小数の関係を調べることなどの小学校での電卓使用例を紹介します。そして小学校から少しずつ電卓を使ってみることで,日本の電卓使用の普及を考えてみたいと思います。

 [一般,Workshop,両者対応]

B-1

石川理雄       数学の面白さとはなんだろう

入学試験に合格するために公式を覚え,問題を解く練習をして,テストで点数がとれればよいと考えて数学を勉強している生徒が多いのではないでしょうか。高校生にとって,大学合格はゴールではなく,学びのスタートであると思います。数学の面白さとは何か。いくつかの題材を紹介しながら参加者の皆さんと一緒に考えたいと思います。

[その他,発表形式,両者対応]

B-2

松木貴司(北海道教育大学函館校)           光と日焼けの関係を電卓で調べよう

光が関係する日常現象を電卓とデータ収集機を使って探求する。日焼け止めローションの効果を光センサーを利用して調べる。発光色の異なる数種類のLEDを光源とし,光強度の測定と表示を電卓とデータ収集器で行い,ローションの効果を光の透過量により定量化する。

[数学と科学の融合,物理,物理教育,発表形式,両者対応]

B-3

大野智宏・佐藤雅哉(東京理科大学大学院)

テクノロジーを用いた発見学習の提案―数学不安を援用して―

教育実習でテクノロジーを用いた授業実践を行った。その反省を踏まえ,我々は数学不安を援用して新たな発見学習を提案する。

 [数学と科学の融合,Workshop,経験者]

B-4

三木義智・飛田和成(東京理科大学大学院) 

2次関数の最大・最小の指導法 ―グラフ電卓を用いた教材の提案―

2次関数の最大・最小は「軸と定義域の位置関係」に着目すればよい。しかし,軸に文字を含む(グラフが動く)場合や定義域に文字を含む(定義域が動く)場合は,場合分けが必要で生徒にとっては難しい。そこで,グラフ電卓を用いて,グラフや定義域を実際に動かし,最大や最小がどのように変化するかを考えさせ,場合分けの必要性を直観的に理解させることを目的とした教材を作成した。

[数学T,発表形式,経験者]

B-5 藤田貢崇(法政大学経済学部)     LabQuest2 を活用した文系学生に対する実験授業

法政大学経済学部では,2016年度から教養教育科目に「自然科学特講」を設置し,自然科学系科目(物理・化学・生物・心理学)の実験を主とした講義科目を実施する。8割以上が文系となる学生構成の中で,物理学実験をLabQuest2の活用によって実施しようとしているが,その方法について述べる。

 [物理教育,発表形式,初心者]

B-6

中澤房紀(Naoco Inc. /東日本国際大学)      無相関検定―実験を通して意味を実感する―

母集団から抽出された標本から得られる情報にもとづいて,母集団全体について推測するというのが統計の基本的な考え方です。よって,標本から得られた数値がどのくらいの確率で母集団を言い当てているかが問題になります。数学Tの授業では相関係数の計算方法を教えて,少ないデータで実際に計算して求めて終わりというのが一般的ではないでしょうか。ここでは,「無相関検定」の必要性・意味を実際に実験を通して実感してもらいます。

 [数学T,Workshop,両者対応]

C-1

荒井大輝(東京理科大学大学院)    グラフ電卓を用いた因数分解の教材

本教材では,正方形や長方形といった図形を用いて因数分解についての生徒の理解を促すことを目標としている。どのように因数分解された形になっているかを,図形から視覚的に理解し,自ら導くことが出来る能力を養うことを期待する。

[数量関係,数量と図形の融合,発表形式,両者対応]

C-2

城島智子(東京理科大学大学院)    自然対数関数―グラフ電卓を用いた教材の提案―

曲線y=1/xとx軸,x=1,変数xで囲まれた部分の面積と自然対数関数の結びつきを考察し自然対数関数のグラフの性質を理解することを目標にする。また,それらを考えるうえで必要な微積分の基本定理や導関数についての知識拡充を図るための発展教材を提案する。

[数学U,発表形式,経験者]

C-3

駒野誠(早稲田大学教育学研究科)        周期のある風景

数列,三角関数など周期があるものについての考察。特に,授業でこれだと思える三角関数のサインカーブについて。

 [数量関係,数学U,数学V",Workshop,両者対応応]

C-4

河合伸昭(岡山県立岡山南高校)   

二次方程式の解の公式からωを活用した三次方程式の解の公式へのアプローチ

本校は,専門高校で,数学Tでの数と式,とくに実力テストでよく出題される式の値は,授業で触れる余裕がないため,ほとんどできない。二年になって,受験に数学を使う生徒も少数いるため,この分野も補習で教えたいが,うまく興味付けができなければ逆効果である。数学Uで虚数,高次方程式も学習したため,この内容とも関連した,式計算だけでない,グラフ電卓の数式計算機能も活用したアプローチができないかと試行してみた。まだ,未完成であるが,皆さんから意見を頂いて,使える教材にできたらと考えている。

 [数学T,数学U,発表形式,両者対応]

C-5

原野雄介(東京理科大学大学院)         グラフ電卓を用いた二次関数の教材

本教材では数学Tの二次関数,その中でも初歩的な内容を扱う。基礎となる二次関数式におけるグラフ上の意味を,グラフ電卓の活用から実験的に考察させる。そのための指導法・教材について検討した。

 [数学T,発表形式,経験者]

   

 

第11回 関数グラフアート全国コンテスト  作品発表と表彰式

 

生徒が関数を使って描いた作品についてプレゼンテーションを行います。


主催:関数グラフアートコンテスト運営委員会 事務局 (福井工業高等専門学校)

月 23日(日)

A-1

坪川武弘,柳原祐治,井之上和代,山田哲也,相場大佑 (福井工業高等専門学校 数学科・応用数学科)

グラフ電卓初心者講座  ―TI-Nspire を使って―

グラフ電卓 TI-Nspire はグラフ描画,数式処理,外部データの取り扱いが手軽にできるすごい電卓です。これを授業に活かすために,初めて使ってみる方を対象に恒例の初心者講座を行ないます。まったく触れたことのない方も少し使える方も,もちろんヘビーユーザーも是非ご参加下さい。

 [Workshop,初心者]

A-2

馬場博史(関西学院千里国際中等部高等部)        国際バカロレア数学とグラフ電卓

世界中で最も多く採用されている初等・中等教育カリキュラム「国際バカロレア(IB)」の数学教科書はいくつかの出版社から発行されていますが,いずれも自然現象,社会現象の実例が多く取り上げられていて,問題を解くのにグラフ電卓を利用するのが当然のようになっています。2種類の試験のうち一方の試験でもグラフ電卓を使います。これらの中から日本の高校数学の授業でも使えそうな問題を紹介します。

[数学T,数学U,数学V,数学A,数学B,発表形式,両者対応]

A-3

勢子公男(練馬区立大泉学園中学校)      TI-Nspire CX CAS の教材で遊ぼう! ―その3―

TI-Nspire CX CASに付属の教材やWeb Siteには様々な教材がある。その紹介の第3段です。自分で教材を作るには諸般の事情でなかなか難しい面があるが,公開されているこれらの教材は自由に使うことができる。いろいろなアイデアの教材が豊富にありとても楽しいものです。皆さんと一緒に「教材を楽しんでみたい」と思います。

[上記以外,Workshop,両者対応]

A-4

吉田朱里(東京理科大学大学院))         データの分析―グラフ電卓を用いた教材の提案―

「データの分析」の単元において,代表値や各グラフについての理解を深めることをねらいとする。また,単に数値計算で終わるのではなく,グラフ電卓や言語活動を効果的に取り入れることで,生徒がよりデータの分析の有用性を感じることができる教材や指導法について検討する。

 [数学T,発表形式,経験者]

A-5

鹿児島 裕梨(東京理科大学大学院)         パズルを題材とした授業の提案

日本における平面図形の導入で,グラフ電卓を用いた「Bathroom Flooring」の教材を基に,数学的活動を充実した指導法を検討する。 

 [図形関係,発表形式,経験者]

B-1

 勢子公男(練馬区立大泉学園中学校       TI-Nspire CX CAS でベクトルと行列を! ―その2―

数学の理論をよりよく理解したり深めたりするには,線形代数の理論が大切になってくる。しかも,その理論も抽象化され複雑になっていくに従って難しくなっていく。ここでは,線形代数の初期段階でのベクトルや行列など具体的な計算を扱うことは,線形代数を学ぶ上で有効だと考える。しかし,行列計算を手でやるにはかなり繁雑な作業で根気が必要になり,相当の面倒が伴う。その計算での困難さは,TI-Nspire CX CASである程度は解決できるであろう。前回の行列の基本変形に続き,連立方程式,固有値,固有ベクトルなどを扱いたいと思う。

 [線形代数,Workshop,両者対応]

B-2

佐々木健治,徳永徹(久留米大学附設高等学校)   

Cabri3D-V2を使った空間図形の教材研究 (1)中学教材(2)高校教材

本校における定期試験,実力試験,及び大学の入試問題,各種模擬試験などで出題された空間図形の問題について,イメージするのが難しいものを集め,Cabri3D-V2で描画してみた。空間図形が苦手な生徒達への一助となることを目標とする。

[図形関係,数学T,数学U,数学V,数学B,発表形式,両者対応]

B-3

半田 真(東京女学館中学校・高等学校)      LabQuest2 を用いた教材の検討

LabQuest2を用いた中高生向けの教材を検討します。従来のVoyageなどのグラフ電卓で行っていた教材やその他の教材をもとに,どの様な利用ができるか,参加者とともに検討してみたいと思います。

     [数学と科学の融合,Workshop,初心者]

B-4

岸菜々美(アオバジャパン・インターナショナルスクール)   中澤房紀(Naoco Inc. /東日本国際大学)

LabQuest2を使ったデータ収集とデータの分析

教育におけるICTの活用が始まっています。ここでは,Vernier LabQuest2でアドホックネットワークを構築し,その場で参加者が持参したタブレットなどとWi-Fi接続をし,データを共有したいと思います。参加者は括弧内の最新のWeb Browserの入ったiPad(Safari),Android Tablet(Chrome),PC(Chrome,Safari,Internet Explorer),スマートフォンなどをご持参で参加ください。グル―プ単位でデータを共有することによる協同作業,レポートの作成,このような環境下での先生の役割など,理数教育におけるICTの活用を一緒に考えたいと思います。

[理科教育,数学と科学の融合,Workshop,両者対応]

B-5

五十嵐聡(東京理科大学大学院)       グラフ電卓を用いた連立三元一次方程式の教材の検討

連立三元一次方程式を使い,前進消去と後退代入について生徒の理解を促すことを目的として,グラフ電卓を用いた教材"Solving Systems Using Elimination"を基に連立三元一次方程式の教材の検討を行う。

 [数学T,発表形式,両者対応]

B-6

今中 愛(東京理科大学大学院)      微積分学の第一基本定理 ―グラフ電卓を用いた積分の教材の検討―

関数と累積関数のグラフを比較することで,生徒が視覚的に関数とその関数の積分との関係に気づけるような教材について検討する。また微分と積分の関係についての知識を固めることも目標としている。

 [数学U,発表形式,経験者]

C-1

堀尾直史(熊本県玉名市立玉南中学校)
数学が苦手な生徒による予期せぬ発見「末永ライン」さらには「末永サーフェス」

中学校3年生でタブレットを利用した図形の授業において,四角形ABCDの内部の点Pで,2つの△PABと△PCDの面積の和が四角形ABCDの半分となる点Pの軌跡を調べさせていたところ,数学を苦手とする生徒が四角形の外部にもそのような点の軌跡があることを発見し,その軌跡は平行四辺形を描くことがわかった。さらに空間の場合への拡張について述べるとともに,中学校におけるテクノロジー利用と教師の指導のあり方について考察する。

 [図形関係,発表形式,両者対応]

C-2

小森恒雄(Naoco Inc.)       CabriUPlusを使って幾何感覚を養成

紙に描いた幾何の作図を,性質を保ちながら動かした図にすることは大変です。しかし,幾何ソフトを使えば作図を自由に動かせます。紙の作図では見えにくい性質が見えてきたり,定理の本質が実感できます。ここでは,三角形の重心,外心,垂心が一直線上(オイラー線上)にあることなどを扱います。

[図形関係,発表形式,両者対応]

C-3

山本直哉(東京理科大学大学院)     グラフ電卓を活用したモデル化された関数の教材

本教材は三角関数を扱う。関数をモデル化し,“Trigonometric Transformation”を基に三角関数をグラフ電卓を用いて考察していく。

 [数学U,発表形式,両者対応]

C-4

有山誠(東京理科大学大学院)     グラフ電卓を用いた区分求積法の指導方法の検討

数V,区分求積法において,定積分と面積が一致することを学習する。グラフ電卓を用いたアメリカの教材「Rieman Sums」を用いて,生徒に考えさせる,考察する活動を通して,定積分と面積の一致を理解することを目標にした指導法の検討を行う。

[数学V,発表形式,両者対応]

C-5

馬橋和也(東京理科大学大学院)     グラフ電卓を用いた関数の教材と指導法の検討

グラフ電卓を用いた関数の教材「Function or Not a Function?」をもとにして,関数の定義を視覚的に理解させ,定着させる指導法について検討する。

[数学T,数学U,数学V",発表形式,両者対応]

講演

青木昌城(ホスピタリティーコーチングサービス・代表)

日本社会の一般人に必要な「数学」的思考  ―「おもてなし」依存が会社をダメにする―著者が語る可哀想な大人たち

「理系」の世界である製造業は,世界トップクラスの生産性をいまでも維持しているが,「文系」の世界である,いわゆる「サービス業」は先進国中位程度というレベルである。これが「格差」の正体でもある。その原因のひとつに,「ロジカル・シンキングの訓練」不足を基盤にした,データ活用力のお粗末があると考えられる。教科としての数学以前に,生きるための数学的素養が求められている企業社会の現状を解説しながら,生徒・学生に「ゴール」をイメージさせることで,社会での活躍のチャンスを広げる希望のある講演。

 

戻る