T^3Japan第21回年会 プログラム詳細

2017年8月26日〜27日  東京理科大学・神楽坂キャンパス

共催:東京理科大学 教育支援機構理数教育センター

                       

 

月 26日(土)

講演

「これからの数学教育のありよう」

 秋山 仁 (東京理科大学 教授)

      (東京理科大学教育支援機構理数教育センター長)

   
A-1

石川理雄    ラグビーのボールを蹴る最適位置,そしてテクノロジー

生徒がじっくり考え,学習した知識を総合的に使う教材として,1985年に「ラグビーのボールを蹴る最適位置」の授業を行い,その後高校・大学で授業をした。解析,代数,幾何の3通りのアプローチを紹介し,この問題を解決する。これは,2020年度から実施される「大学入学共通テスト(仮称)」の記述式問題のモデル問題例4と同じ問題である。そして,他の教材をいくつか紹介して,テクノロジーをどのように活用するか,教育の主人公である生徒・学生の学びがどのように変わるか,参加者と一緒に考えたい。

 [図形関係,数学T,U,V,A,B,C,発表形式,両者対応]

A-2

渡辺 信(生涯学習数学研究所)  与えられた問題から新しい問題へ −Technologyは考える補助−

与えられた問題から新しい問題へ −Technologyは考える補助−
現在の数学教育では問題は与えられる。そしてその解法も例題によって解くことができる。このような状況においては情報機器は必要がない。学校教育では数学を楽しむことができないが、Technologyの活用によって「数学はおもしろい」と思うような変化が現れる。Technologyが数学の世界を広げ、自分で考えてみようと思う補助の役割をしてくれることを実際例を持って示す。

[図形関係,数量関係,発表形式,初心者]

A-3

栗崎祐樹(東京理科大学理学研究科科学教育専攻)   グラフ電卓を用いた曲線の長さの教材

数V「曲線の長さ」において,曲線の長さが定積分で求められることの理解を促すことを目的として,グラフ電卓を用いた教材”GatewayArcLength”を基に,曲線の長さの教材の検討を行う。

 [数学V,発表形式,両者対応]

A-4

勢子公男(東京理科大学)   電卓を使った数学指導の提案−中学校における指導の一例を通して−

先生方は「Technologyを利用して授業をする」ことをどう受け止め考えていらっしゃるのだろうか?ここでは難しいことは抜きにして、実際に電卓を操作しながら「とにかく使ってみよう」ということです。どんな使い方があるのかを例会参加の皆様と一緒に考えてみたいと思います。取り上げたい題材として、正負の数、文字式、方程式などを予定している。

 [数量関係,Workshop,両者対応]

A-5

坪川武弘, 柳原祐治, 井之上和代, 山田哲也, 相場大佑

(福井工業高等専門学校 数学科・応用数学科)  

グラフ電卓初心者講座 (2)データ収集と処理

初めてグラフ電卓にふれる方を対象にした初心者講座です。誰でもすぐに使えるようになります。TI-Nspireとセンサーを用いてワークショップ形式で行います。すでに使い始めた方は授業での使用例の参考として下さい。

 [Workshop,初心者]

B-1

大木李以弥(東京理科大学理学研究科科学教育専攻)  

 グラフ電卓を用いた母平均の信頼区間に関する教材

グラフ電卓を用いて母平均の信頼区間の教材について検討する。現在数学Bの「確率分布と統計的な推測」の中で母平均の区間推定について取り扱っている。グラフ電卓を用いて信頼区間の意味の理解を目指した教材の検討を行う。

[数学B,その他,発表形式,両者対応]

B-2

中澤房紀(Naoco Inc. /鶴見大学) グラフ電卓の機能(国際バカロレアで使われる例を参考に)

数値計算,等差数列の第n項を求める、第n項までの和を求める。二次方程式の解をグラフを描いて解く、多項式ツールを使って解く。二次関数の頂点、2曲線の交点、連立方程式を行列で、グラフで解く、余弦定理の公式の利用、曲線のグラフの極大および極小を求める。体積を求める、確率を求める、金融数学など。確率分布については、IB Workshopの題材を扱います。

 [その他,Workshop,両者対応]

B-3

 勢子公男(東京理科大学)    TI−Nspire CX CASで線形代数を!!

TI-Nspire CX CASは数学の様々なことを実現できる数学専用のMini Computerである。「理論は人間が、計算は電卓で」の方針のもと、理論の理解のためにどのように利用できるのかを検討したいと思います。行列の計算は、計算量が多く煩雑であったことを痛感させられた経験は誰しもがお持ちであろう。ここでは、線形代数の分野での使用を皆様と一緒に操作してみようと思う。行列計算と基本変形、行列式計算、連立方程式の計算、クラーメルの公式などの基礎を取り扱う予定である。

[線形代数,Workshop,両者対応]

B-4

杉山真澄(大学非常勤講師)   不等式の世界

等式の証明ができないとき、求められないとき、使える手段の一つ不等式による挟み込み手法があります。いろいろな例によりその世界をみてみましょう。

[数学T,U,V,A,B,C,微分積分,発表形式,両者対応]

B-5 中澤房紀(Naoco Inc. /鶴見大学)    線形回帰と相関係数 (国際バカロレアから)

OXFORD社から出版されているMathematical Studies for the IB Diplomaに掲載されている「Linear regression (line of best fit)」の教材を紹介します。グラフ電卓を使うことを前提にしており,扱いが日本と少し違います。日本のカリキュラムを考慮して最小二乗法についても扱います。

[上記以外,Workshop,両者対応]

C-1

高橋 正(甲南大学知能情報学部)    証明ソフトの現状

現在、PCソフトとして、様々な証明支援ソフトウェアがある。それぞれのソフトウェアは、証明の対象も様々である。テクノロジーを用いた数学教育の今日的なテーマの一つとして、数学ソフトウェアを用いた証明の現状において考察する。

[数学教育,発表形式,両者対応]

C-2

中込雄治 (宮城学院女子大学教育学部)    算数・数学教育と図形ソフト

地域的に差はあるものの,教育現場におけるICT活用の環境は確実に整いつつあります。算数・数学教育でもICT活用の場面が模索されていますが,ここでは図形ソフトの活用という観点からテクノロジーの活用場面を考えます。

[図形関係,発表形式,初心者]

C-3

清水克彦(東京理科大学)    次世代型教員研修プログラム開発における数学ソフトウエアの活用

数学ソフトウエアを用いた「研究者を模した探究活動」(RLA)によるアクティブラーニングの実現を、現在、教員研修機構の平成29年度 教員の資質向上のための研修プログラム開発支援事業(B 次世代型研修プログラム開発事業)で行っている。その開発経過について、報告し、数学ソフトウエアがアクティブ・ラーニングにどのように活用できるかについて述べる。

[数学T,数学A,発表形式,両者対応]

C-4

堀尾直史(熊本大学大学院/玉名市立玉南中学校))    生徒が考えるためのテクノロジー利用

私たち教師は、生徒たちが陥りがちな固定概念を壊し、別の見方を身につけさせて、機に応じた柔軟な発想ができるように育てたい。そのためには、まず教師がそうあらなければならない。そして、その教材開発、教材研究のためのツール、また、教材提示装置として、そして生徒が使う教具として様々な可能性を持つテクノロジーを積極的に教室に持ち込むためのいくつかの例を紹介する。

[図形関係,数量と図形の融合,発表形式,両者対応]

C-5

勢子公男(東京理科大学)   Technology事情を考える −オーストラリアでの研修を通して−

オーストラリアのメルボルンでの研修機会を得ることができた。授業研修センターの視察と地元公立中学校での1年生の授業参観に参加することができた。ここではその時の報告とTechnology利用について、それに関連する環境や背景について考えたいと思う。例会の発表としては他と様相とは異にする感が強いが、参加された皆様と意見を交えながらこれからの数学教育を一緒に考えてみたいと思っています。

[数量関係,Workshop,両者対応]

   

 

第13回 関数グラフアート全国コンテスト  作品発表と表彰式

 

生徒が関数を使って描いた作品についてプレゼンテーションを行います。


主催:関数グラフアートコンテスト運営委員会 事務局 (福井工業高等専門学校)

月 27日(日)

A-1

坪川武弘,柳原祐治,井之上和代,山田哲也,相場大佑 

(福井工業高等専門学校 数学科・応用数学科)

グラフ電卓初心者講座 (1)数式処理とグラフ描画

初めてグラフ電卓にふれる方を対象にした初心者講座です。誰でもすぐに使えるようになります。TI-Nspireを用いてワークショップ形式で行います。すでに使い始めた方は授業での使用例の参考として下さい。

 [Workshop,初心者]

A-2

堀尾直史(熊本大学大学院/玉名市立玉南中学校)        多面体を折るだけで裏返す

厚みのない平面でできた多面体に、折り紙のように折り目をつけて有限回折って裏返すことを考える。前原濶氏の論文「Reversing a polyhedral surface」を基に研究を進め、思考実験と模型を使っての手作業とテクノロジーによって新たな知見を得た。意外な形が裏返る!

 [数学教育,発表形式,両者対応]

A-3

勢子公男(東京理科大学)       TI-Nspire CX CASで微分積分を!!

グラフ電卓初心者講座から少し進んで,教材の具体例と利用に関して紹介します。実際の授業に役に立つものを取り上げます。

 [Workshop,両者対応]

A-4

小森恒雄(Naoco Inc.) 

線型代数学の学習にTI-Nspire CASを利用U−行列はHandheldを使って計算

TI-Nspire CX CAS Handheldは,紙と鉛筆では大変になる行列の計算に使ったり,さらには理論のより深い理解に援用したりできます。今回は,対角化可能な行列に焦点を当てます。行列の標準化,べき等行列,巡回行列の固有値などでの利用について紹介します。

 [線形代数,Workshop,両者対応]

A-5

 勢子公男(東京理科大学) 

 Technologyを利用した数学授業を考える−小学校中学校高校で電卓を利用する−

先生方は「Technologyを利用して授業をする」ことをどう受け止め考えていらっしゃるのだろうか?ここでは生徒の発達段階に応じて、小学校でTI-15、中学校でTI-30XB、高校でTI-Nspireを使い分けた利用を試みてみたいと思う。この比較を通して、Technologyのこれからの利用を例会に参加された皆様と一緒に考えてみたいと思います。

 [数量関係,数学T,Workshop,両者対応]

B-1

喜田英昭(広島大学附属中・高等学校)    iPadとLabQuest2を利用して,バウンドするボールに潜む関数関係を探る−中3数学「いろいろな事象と関数」の課題学習−

「いろいろな事象と関数」の発展教材として,「バウンドするボールに潜む関数関係」をグループで探求する授業を報告する。LabQuest2を用いてボールがバウンドする動きを測定し,iPadとデータ分析アプリ「Graphical Analysis for iPad」,グラフ描画アプリ「Desmos」を用いて,データをグラフ化し,その動きの分析し,新たな課題を発見する課題学習を行った。

 [数学と科学の融合,発表形式]

B-2

中澤房紀(Naoco Inc. /鶴見大学)

 実データから出発する数学、理科との融合「歩いてグラフなど」

実データの収集は以前に比べると容易になってきました。今回はBluetooth接続でデータを収集する,それをいつも使っているデバイスで解析する方法を検討します。まずは,「歩いてグラフを描く」からスタートです。理科の実験でデータロガーを使うことが増えています。これをサポートする上でも数学教育でデータを扱うことが重要です。

 [数量関係,数学と科学の融合,Workshop,両者対応]

B-3

小森恒雄(Naoco Inc.)   酸塩基滴定−最新機器Go Direct pHセンサを使って−

高校・大学における化学の代表的な実験である酸塩基滴定(中和滴定)を,Vernier社の最新機器Go Directセンサを使って行います。Go Directシリーズはワイアレス(無線)が大きな特長で,Go Direct pHセンサとGo Directドロップカウンタを使います。

 [化学,その他,Workshop,両者対応]

B-4

馬場博史(岡山理科大学附属高校)  国際バカロレア数学の教材を日常の授業に取り入れる

国際バカロレアの数学では,グラフ電卓を使う試験と使わない試験の両方が実施されています。教科書には自然科学,社会科学の題材を扱った問題が豊富です。その中でグラフ電卓(なければPC)を使って解けるものを紹介します。

[数学T,U,V,A,B,数学と科学の融合,発表形式,両者対応]

B-5  中澤房紀(Naoco Inc. /鶴見大学) 線形回帰と相関係数 (国際バカロレアから)

OXFORD社から出版されているMathematical Studies for the IB Diplomaに掲載されている「Linear regression (line of best fit)」の教材を紹介します。グラフ電卓を使うことを前提にしており,扱いが日本と少し違います。日本のカリキュラムを考慮して最小二乗法についても扱います。

[上記以外,Workshop,両者対応]

C-1

西山寿延(唐津市立加唐中学校)   三平方(ピタゴラス)の定理を四角形に拡張してみよう

直角三角形についての三平方の定理(またはピタゴラスの定理)を四角形にまで広げてみたらどうなるでしょう。直角三角形において一番長い斜辺の平方は残りの二辺の平方の和に等しいという定理を四角形に拡張するわけですが、辺が四つになるので組み合わせ方も少し増えます。それだけでなく成り立つ四角形の範囲もかなり広がります。そんなことを動的幾何ソフトウェアを使いながらしばし探求してみませんか?

 [図形関係, 数学T,発表形式,両者対応]

C-2

佐々木健治・徳永 徹(久留米大学附設高等学校)   Cabri 3Dを用いた授業 −中学3年生を対象として−

立方体上を2点が動き、頂点の1つとその2点で決まる平面による立方体の切断面を考える問題を出題した。この問題について、切断面の動きを正確に把握していた生徒は20%程度であった。そこでCabri 3Dアニメーションを自分で操作して切断面の動きを見てもらった。

 [図形関係,数学B,発表形式,初心者]

C-3

河合伸昭(岡山県立岡山南高校) ティコの秘密の計算法−三角関数の積和公式と中世の数値計算法−

対数誕生前夜の中世では、天文学者が日夜、小数点以下十桁もの数値計算に取り組んでいた。当時の三角比の数表は小数点以下十桁の精度であり、大航海時代の遠洋航海で船の位置を割り出すには、それだけの精度の星の観測が必要だったのである。いわば中世のGPSは、膨大な手計算により実現されていたのである。ティコ・ブラーエは、三角関数の積和公式を用いて、計算を簡略化する方法を彼の天文台で用いていたという。このワークショップでは、それを体験し、高校生の積和公式の指導に活かすことを目指す。  

 [数学V,Workshop,両者対応]

C-4

半田 真 (東京女学館中学校・高等学校)     はじめてのグラフ電卓Nspire

TI-Nspireを初めて授業で使うときを想定して,Nspireの基本操作を指導する教材を検討します。1時間の授業時間を想定して,基本的な操作のみに限定し,グラフ表示や代数計算などができるよう指導する教材を提案します。参加者の皆さんのご意見を取り入れながら使いやすい教材に改善していきたいと思っています。

[数量関係,数量と図形の融合,数学と科学の融合,数T,U,V,A,B,Workshop,初心者]

C-5

小美濃純一(東京理科大学大学院)  グラフ電卓を用いた三角関数の合成の導入

通常,三角関数の合成に関しては加法定理を学んだ後にasinx+bcosxを変形し,加法定理を適用して合成の式を導いている。しかし,視覚的なイメージなしに式変形のみで導出することは,生徒が三角関数の合成を「公式」として丸暗記し,その意味を理解することが困難になることにつながると考えられる。そのため,式変形による導出の前に,導入として,グラフ電卓を用いて合成後も同じ周期の波ができること,式の変形の意味などを理解させる教材を考察した。
[線形代数,発表形式,両者対応]

 

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