T3
Japan
Representative |
一松 信 (京都大学名誉教授) |
Conference
Leader |
池田文男
(東京理科大学) |
Program Organizer |
牧下英世 (筑波大学附属駒場中学・高等学校) |
Program
Organizer |
半田 真 (東京女学館中学・高等学校) |
Program
Organizer |
勢子公男 (東京都江東区深川第四中学校) |
WorldwideT3
Coordinator |
渡辺 信 (生涯学習数学研究所) |
T3
Japan
Administrator |
中澤房紀 (Naoco
Inc./東日本国際大学) |
3月の東日本大震災で被害に会われました関係の皆様に,心よりお見舞い申し上げます.これからの日本の復興に長い時間がかかると思いますが,この復興に果たす数学の力は大きなものがあると考えています.数学の発祥が,ナイル川の氾濫にあるとするならば,現在の日本の状況は古代エジプトの状況と同じであるといえ,数学的な活動が新たな数学を生み出すことが可能であるといえます.このような日本の状況の中で,数学教育の重要性はますます増していくと思います.
さて,新しい学習指導要領の完全実施が目前に迫ってまいりました.この学習指導要領で,数学をはじめとする理数系の授業時間数が増加したことは,日本の子供達にとって喜ばしいことであると考えています.さらに,前回に導入された「数学的活動」も,より一層充実することが求められています.数学教育の根本的な目標は,数学を「わかる」ことと「使える」ことにあると思います.「数学的活動」は,この目的を達成するための一つの手段としてとらえられます.
「わかる」ことには,次の4段階があるのではないでしょうか.第1段階は,人に教えてもらい「わかる」段階となります.授業を聞いてわかるという最初の段階といえます.第2段階は,自分でやって「わかる」段階といえます.人から聞いたことを自分で実践しわかる段階になります.第3段階は,「わかった」ことを人に説明できる段階といえます.ひとにわからせるためには,自分で分かっていなければならないと感じています.最後の第4段階は,「わかった」ことを,人に説明したくてしょうがない状況になることだと思います.自分のものになった知識や技術を人の迷惑を顧みず話をいたくなる状態です.数学の研究者の大部分はこの状態にあり,学生が理解しなくても授業で一生懸命話をしています.教師も,この状態で学生を学習させることが必要かと思います.
テクノロジーの利用は,この4つの段階の全てで有効であるといえます.第1段階では,数学の状態をテクノロジーで見せることにより,「わかる」ことが可能になります.第2段階では自分でテクノロジーを取扱い「わかる」状態になることが可能です.第3段階では,テクノロジーで多くのひとに「わかった」ことを説明することができ,第4段階では,テクノロジーの積極的な活用が必要になると考えています.
今年のT^3Japanは,東京理科大学数学教育研究会共催で8月27日(土),28日(日)の2日間東京理科大学で実施することとなりました.夏の暑い日を熱い情熱で,テクノロジーを用いて「分かる」ことを研究したいと考えています.この情熱が日本の復興に役立つものと信じています。皆様のご参加をお待ちしています.
東京理科大学理学部数学科教授
東京理科大学数学教育研究会会長 池 田 文 男
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